章ごとの聖書の物語。

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最近の物語

歴代誌第二 24 旧約聖書

修復と背信の王ヨアシュ

ユダの都エルサレム。その神殿の奥深く、七歳の少年は祭司の衣の裾を握りしめていた。石の冷たさが足の裏から伝わり、常灯の油の匂い、古い巻物の革の香り―これがヨアシュ...

ダビデの人口調査と悔い改め

サタンが立ち上がり、イスラエルを責めた。それは、静かなる春の終わりだった。オリーブの丘は新緑に覆われ、羊の群れがのどかに草を食む季節。しかし、王国の中心には、目...

列王記第一 4 旧約聖書

知恵の朝、王国の一日

エルサレムの城壁に朝の光が差し始める頃、宮殿の最も東にある部屋には、すでに羊皮紙の匂いが立ち込めていた。ソロモン王は窓辺に立って、眼下に広がる都を見下ろしていた...

ヨシュア記 12 旧約聖書

嗣業の礎

ギルガルの宿営には、夕暮れの風がほのかに野原の草の香りを運んでくる。ヨシュアは肩にかけていた羊毛の外套を少し緩め、粗末な机の上に広げられた羊皮紙のリストを見下ろ...

申命記 14 旧約聖書

清さの記憶、祝福の味

夕暮れが、ギルアデの丘陵を柔らかな葡萄酒色に染めていた。ヤコブは、ひび割れた手で最後の一束の大麦を縛り終えると、鍬を地面に突き刺し、深く息を吸った。収穫の匂い—...

民数記 16 旧約聖書

聖なる境の祭司

朝もやがシティンの荒野にたなびく頃、アロンは会見の天幕の入口に立ち、目の前の金の祭壇から立ち上る細い煙を見つめていた。冷え切った砂の匂い、燔祭の脂肪の焦げる匂い...

レビ記 13 旧約聖書

清めと隔離の境界

その日、朝もやがまだケデロンの谷にたなびいている頃、エリアサフは叔父であり師である祭司アビヤの後を、少し息を切らしながら歩いていた。石畳の道は夜露で滑りやすく、...

砂漠の法と少年の自由

暑い一日が終わりかけたときであった。西に傾いた太陽が、砂岩の丘を鈍い金色に染め、長い影を砂地に伸ばしていた。会見の天幕の前には、埃っぽい地面に直接、あるいは持ち...

誘惑と裏切りの牢獄

エジプトの地は、ヨセフにとってすべてが異様だった。匂いが違った。ナイルの水が運ぶ湿った土の息吹、市場でかぐわしく燃える香料、そしてどこまでも続く陽射しの焦げつく...

創世記 7 旧約聖書

約束の箱舟

その日も、ノアは斧を振るっていた。肘にかかった汗が木屑に混じり、独特の匂いを立てる。百年近く、この仕事は続いている。近所の者たちは、初めこそ好奇の目で見ていたが...

ヨハネの黙示録 13 新約聖書

獣の刻印と硝石の海

海は鉛のように重たく、その上を低く垂れ込めた雲が掠めていた。アシア州の小さな港町の片隅で、私は皮革を鞣す仕事をしていた。硝石と尿の混ざった臭気が、常に私の鼻を刺...

行いなき信仰は死んだもの

エルサレムの晩夏は、石畳に蓄えた昼の熱気をゆっくりと吐き出していた。会堂の一角にある小さな家の二階では、ランプの火がゆれ、壁に巨大な人影を揺らめかせていた。ヤコ...

テサロニケの信徒への手紙一 5 新約聖書

テサロニケの灯り

エーゲ海に面した港町テサロニケ。昼間の喧騒がやみ、家々に灯がともり始める頃、ルカスは革細工の作業台からゆっくりと腰を上げた。指先は油と塵で黒ずみ、一日の疲れが肩...

苦難に輝く神の器

埃が舞う小アジアの道を、わたしは歩いていた。足元の石の温もりが、革のサンダルを通じて伝わってくる。同行するテトスは、ずっと黙っていた。コリントからの返書を懐に抱...

古き人の葬列

ほの暗いローマの裏通りを、マルクスは足を引きずりながら歩いていた。左足の古傷が、雨の気配を感じさせた。退役して三年、かつては鎧の重みも軽々と担いだ四肢は、今では...

見つけた喜び、帰る歓び

その日もガリラヤの丘は、午後の斜光を浴びて黄金に濁っていた。ヨセフは石垣の陰に腰を下ろし、羊の群れを数えていた。指が一本、また一本と折られていく。九十七、九十八...

清めの泉

エルサレムの城壁の影が、ぎざぎざと谷間へ伸びていく頃合いだった。帰還の民でようやく活気を取り戻しつつある町も、日が落ちればすぐに静寂に包まれた。十年という歳月は...

悔い改めるニネベ

ヨナは、その肌にまだ塩の気配を残しながら、長い道を歩いていた。足元の砂利が軋む音だけが、彼の思考に付き添う。再び、あの声が響いた日のことを思い出す。荒れ狂う海、...