アーカイブ
2026年2月
2026年2月に公開されたストーリーです。
聖所の光とレビの奉献
日が傾き始める頃、幕屋の前の空き地には、うっすらと砂塵が舞っていた。風は熱を帯びておらず、かすかに乾いた草の匂いを運んでくる。モーセは、肘を膝について地面を見つ...
過ぎゆく裁きの夜
夜の気配がナイルの岸に沈む頃、モーセは再び王宮の重い石の扉をくぐった。空気は香料と、かすかな腐敗の臭いが混じり合っていた。松明の炎が壁にゆらめき、巨大な柱の影を...
覚醒への筆跡
その日も、書記官ヨセフは、午後の日差しが斜めに差し込む部屋で、羊皮紙と格闘していた。硯の墨は、乾きかけていた。彼は唾をつけた指でそれをなぞり、なんとか筆を走らせ...
ダマスコの光からフィリピへの手紙
エパフロディトスが届けた贈り物に、心が温まった。ローマの監視付きの宿では、羊皮紙が手元にある。窓の外からは、市場の喧騂がかすかに聞こえる。ここで、フィリピの人た...
復活を証す鎖の声
カイサリアの港には、いつもより濃い塩の香りが漂っていた。午後の炎暑が石畳に蓄えられた熱を放出し、ゆらめく蜃気楼が遠くの軍艦を歪ませている。獄舎の一室は、厚い壁に...
回復の測り縄
夕暮れが、バビロンの捕囚の地に暮らす人々の粗末な家々を、長い影で覆い始めていた。埃っぽい空気の中、エゼキエルは腰を下ろしたまま、目の前の羊皮紙を見つめていた。こ...
契約と背信の記憶
エルサレムの南、ヒンノムの谷を見下ろす高台に立つと、風が変わることがある。乾いた砂塵の匂いから、突然、遠い記憶のような湿った土の匂いに変わる。それは、この丘がま...
ミツパの悲劇 ゲダルヤ暗殺
七月の穂の香りが、ミツパの丘に漂っていた。刈り入れがほぼ終わり、町は一時の平穏に包まれていた。バビロンの総督として立てられたゲダルヤは、官舎ともいえぬ質素な家の...
切り株からの若枝
その日は、埃っぽい風がアナトトの丘を吹き抜けていた。イザヤは工房の窓辺に座り、指先に付いた粘土の感触をぼんやりと眺めていた。外では、父エッサイが何十年も前に植え...