**歴代誌下 第十八章の物語**
ユダの王ヨシャファトは、富と栄誉に満ちた偉大な王であった。彼は主を畏れ、父ダビデの道に歩み、高き所を取り除き、民に律法を教えた。しかし、彼には一つの弱さがあった。それは北イスラエルの王アハブとの関係であった。アハブは主の目に悪とされることを行い、バアルを礼拝する王だったが、ヨシャファトは彼と姻戚関係を結んでいた。
ある日、ヨシャファトはサマリアにいるアハブを訪れた。アハブは盛大な宴を催し、彼をもてなした。そして、戦いの計画を打ち明けた。
「ラモテ・ギレアドはもともと我々の土地だ。しかし、アラムの王がそれを占領したままにしている。私と共に戦って、それを取り戻さないか?」
ヨシャファトは信仰深い王であったが、アハブの提案に軽々しく同意してしまった。
「私はあなたと一体です。私の民もあなたの民と同じです。共に戦いましょう。」
しかし、彼はふと神の御心を確かめずに決断したことを思い、すぐに言い直した。
「まず、主の御心を尋ねてみてください。」
アハブは四百人の預言者を召し集めた。彼らは王の前で華々しく預言した。
「ラモテ・ギレアドに攻め上れ! 主は王の手にそれを渡される!」
預言者たちは口を揃えて勝利を告げた。しかし、ヨシャファトの心には疑念がよぎった。
「ここには、主の真の預言者はいないのですか?」
アハブは不愉快そうに答えた。
「まだ一人いる。イムラの子ミカヤだ。だが、彼は私にとって不吉なことしか預言しない。」
ヨシャファトは静かに言った。
「王よ、そう言わないでください。主の言葉を聞きましょう。」
アハブは仕方なくミカヤを呼び寄せた。その間、王たちは王服をまとい、門の入口の広場に座していた。預言者たちは熱狂し、その一人、ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を作り、叫んだ。
「主はこう言われる。『あなたはこの角でアラムを突き、滅ぼし尽くす』」
他の預言者たちも同様に勝利を預言した。
やがてミカヤが到着すると、王の使者は彼に言った。
「預言者たちは皆、王に吉報を告げている。あなたも彼らと同じように語れ。」
しかし、ミカヤは毅然と答えた。
「主は私に何を語られるか、それを私は語る。」
王の前に立つと、アハブが尋ねた。
「ミカヤよ、我々はラモテ・ギレアドに戦いに行くべきか?」
ミカヤは最初、皮肉を込めて言った。
「行って勝利を収めなさい。主はそれを王の手に渡される。」
しかし、アハブは彼の調子を見抜き、真剣に命じた。
「何度誓わせれば、お前は主の名によって真実を語るのだ?」
そこでミカヤは真剣な面持ちで語り始めた。
「私はイスラエルが皆、牧者のいない羊のように散らされるのを見た。主は言われた。『これらの者には主人がいない。それぞれ無事に家に帰れ』と。」
アハブはヨシャファトに言った。
「ほら、彼は私にとって不吉なことしか言わない。」
しかし、ミカヤはさらに続けた。
「聞け、主の言葉を。私は主が天の御座に座し、万軍がその左右に立っているのを見た。主は『だれがアハブを欺いて、ラモテ・ギレアドに攻め上らせ、彼を倒すか』と尋ねられた。すると、ある霊が進み出て、『私が行って、彼の預言者たちの口を通して偽りの霊となろう』と言った。主は『お前は彼を欺くことに成功する。行って、そうせよ』と命じられた。今、主はこれらの預言者たちの口に偽りの霊を送り、王の破滅を定められたのだ!」
これを聞いたゼデキヤは怒り、ミカヤの頬を打ちながら叫んだ。
「主の霊がどのようにして私を離れて、お前に語ったというのか!」
ミカヤは冷静に答えた。
「お前が奥の部屋に逃げ込む日、それがわかる。」
アハブはついに怒り、ミカヤを牢に投じるよう命じた。
「この男を町の長官アモンと王子ヨアシュに引き渡せ。彼らに言うのだ。『この男を牢に入れ、私が無事に帰るまでパンと水だけで養え』と。」
ミカヤは毅然として言い放った。
「もし王が無事に帰還するなら、主は私を通して語られなかったのだ。皆、私の言葉を覚えておくがよい。」
こうしてアハブとヨシャファトはラモテ・ギレアドへと進軍した。しかし、アハブは内心恐れ、王服を脱ぎ、変装して戦場に臨んだ。一方、ヨシャファトは王服を着たまま戦った。
アラムの王は部下に命じた。
「イスラエルの王だけを狙え!」
彼らはヨシャファトをアハブだと思い、包囲した。ヨシャファトが助けを叫ぶと、主は彼を救い、敵は彼がイスラエルの王でないことに気づいて退いた。
しかし、一人の兵士が何気なく放った矢が、変装していたアハブの鎧の隙間を貫いた。アハブは戦車の中に、「私は傷ついた。撤退させよ」と叫んだ。夕暮れまで戦いが続き、彼は血を流しながらも戦車に耐えたが、日が沈むころについに息絶えた。
兵士たちが彼の死を告げると、軍は散り散りになり、王の遺体はサマリアに運ばれて葬られた。戦車は池で洗われ、犬が彼の血をなめた。主がかつて預言された通りであった。
ヨシャファトはエルサレムに無事に帰還したが、預言者エフーが彼を戒めた。
「悪人を助け、主を憎む者と親密にするのはよいことか? しかし、あなたには善いところもある。あなたは高き所を取り除き、心を主に向けようとした。」
こうして、ヨシャファトは再び主の道に立ち返り、民を正しく導いた。しかし、アハブの最期は、神の言葉を無視し、偽りの預言に耳を傾けた者の末路を如実に示していた。
**(歴代誌下 第十八章 終わり)**