章ごとの聖書の物語。

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最近の物語

ルカによる福音書 16 新約聖書

不正な管理人と金持ちとラザロ

その日、エルサレムの空は、雨季を前にしたような鉛色をしていた。通りを行き交う人々の足早な歩みからは、何か気ぜわしい空気が流れていた。イエスは、いつものように群衆...

復活の朝、空の墓

暗闇が薄らぎ始めた頃、エルサレムの街はまだ深い眠りの中にあった。冷たい石の寝床に身を横たえた者たち、悔恨と失望に胸を締め付けられて目を閉じる者たち。その中を、マ...

ヨナ書 4 旧約聖書

ヨナとうごまの木

夕陽がニネベの町の粘土壁を赤く染めていた。ヨナは丘の上に座り、膝を抱えていた。足元には、乾いた土の粉が風に舞い、彼の粗末な外套の裾に淡い跡を残す。町は、もう何日...

エゼキエル書 27 旧約聖書

海の女王の黄昏

海はまだ暗く、東の空がほのかに白み始める頃、ティルスの港にはすでに人の気配が絡みついていた。潮風が塩の香りと、積み荷の杉材の芳ばしい匂いを運んでくる。船大工の槌...

イザヤ書 54 旧約聖書

不妊の女への約束

リヴカは、毎日が砂のように手からこぼれ落ちていくのを感じていた。彼女のテントの入り口に座り、遠くの丘を見つめながら、長い年月が過ぎ去ったことを思った。子供の声が...

伝道者の書 10 旧約聖書

二つの丘と知恵の重み

その町には、二つの丘があった。一つは南にあり、堅い岩盤の上に立つ富裕な者たちの屋敷が夕陽を浴びて輝く。もう一つは北の丘で、粘土質の土が雨のたびに滑り落ち、貧しい...

主の下での家づくり

エルカナの手には、もう何年も慣れ親しんだ道具の重みが染み込んでいた。朝の冷たい空気が、まだ露に濡れた石の塊を切り出す作業場に流れ込んでくる。彼は息を白くしながら...

詩篇 95 旧約聖書

荒野の約束

その日、砂漠は朝から異様なまでに静かだった。風さえも鳴りを潜め、岩だらけの荒野が鋭い影を刻みつけるのを、ヨシュアはただ見つめていた。遠く、民の宿営からかすかに聞...

詩篇 63 旧約聖書

魂の渇きと砂漠の約束

砂漠は、昼でもなく夜でもない時間を産み落とした。東の空はまだ深い藍をたたえているが、西方の地平線は、すでに死んだ灰の色に沈みかけていた。熱気は、昼間の狂暴な叫び...

灰の中のヨブ 天を仰ぐ問い

灰の中に座る男は、空を見上げた。夕闇が、ウツの地の荒れた平原を紫がかった影で覆い始めていた。昼の焼けつくような熱気が引き、代わりに、骨の髄まで沁みるような冷たさ...

主を求める手

その日、エルサレムの城壁の上に立つと、南から吹く風が、オリーブの木々を通り抜け、重苦しい夏の気配を運んできた。アサはその風に額の汗を感じながら、眼下に広がる都を...

エリシャの小さな奇跡

預言者エリシャの足跡は、その時代のイスラエルの丘や谷に深く刻まれていた。ある日、風が乾いた土埃を巻き上げる中、一人の女がやつれて彼の前に現れた。彼女の肩は慄き、...

誓いの代償 エフタの娘

ギレアドの地に吹く風は、いつもより重たく、乾いた土の匂いを運んでいた。トーラの後、平和は脆い殻のように砕け、イスラエルの子らは再び、目に見えぬ轍から外れ始めてい...

赤い縄の約束

エリコの城壁の西側、日が傾き始めた頃だった。壁の内部にへばりつくように建てられたラハブの家は、煉瓦の粗さをそのまま露わにしていた。干からびた泥の匂い、夕餉の煙、...

約束の地へのまなざし

その日は、砂漠の風が一段と熱を帯びていた。ヨルダン川の東、モアブの平原に張られた宿営の片隅、一本の枯れかけたアカシアの木陰で、老いた指導者は腰を下ろしていた。ヨ...

民数記 8 旧約聖書

聖所の光とレビの奉献

日が傾き始める頃、幕屋の前の空き地には、うっすらと砂塵が舞っていた。風は熱を帯びておらず、かすかに乾いた草の匂いを運んでくる。モーセは、肘を膝について地面を見つ...

贖いの香り

朝もやがシティムの谷を覆う頃、アヒムは囲いの中で一頭の雄羊を見つめていた。背中の毛は粘土色で、足元に近づくにつれて灰白色に変わっていく。その目は琥珀のように澄ん...

出エジプト記 11 旧約聖書

過ぎゆく裁きの夜

夜の気配がナイルの岸に沈む頃、モーセは再び王宮の重い石の扉をくぐった。空気は香料と、かすかな腐敗の臭いが混じり合っていた。松明の炎が壁にゆらめき、巨大な柱の影を...