章ごとの聖書の物語。
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最近の物語
約束の地を望むモーセ
荒野の風は、乾いた土の匂いを運び、岩肌を撫でてゆく。遠くにヘルモン山の雪頂が鈍い光を湛え、一日の終わりを告げていた。私たちは、バシャンの平野に陣を敷いていた。目...
十二部族の等しい奉献
荒野の風は、冷たく乾いていたが、この日ばかりは、そこに一種の温もりが漂っているようだった。幕屋が完成してから七日目。亜麻の白い布とやぎの毛の覆いで形作られた聖な...
初めの愛を思い出せ エペソスへの手紙
西暦九十六年、秋も深まりかけたころ。小アジアの沿岸は、エーゲ海から吹きつける風に、すでに冬の気配を孕んでいた。エペソスの港には、各地から運ばれた物資を積んだ船が...
キリストの心、フィリピへ
その手紙が届いたのは、夕暮れ時だった。エパフロディトが、まだ疲れ切った顔をしながら、小さな巻物を差し出した。フィリピの家々から窓という窓に、オリーブオイルのラン...
測り縄と炎の城壁
夜明け前の闇が、オリーブの丘をまだ深く包み込んでいた。ゼカリヤはうつろな眼で東の空を見つめていた。遠く、崩れかけたエルサレムの城壁の影が、灰色の闇に溶け込んでい...
神殿より湧き出るいのちの川
見知らぬ者たちが、神殿の壁際に私を連れて行ったのは、梅雨明けの夕立が過ぎたばかりの暑い午後のことだった。風はなく、ただ蝉の声が石段にこだましていた。私は年をとり...
燃える葡萄の木の預言
その日、埃っぽい風がバビロンのケバル川沿いの集落を渦巻いていた。窓という窓からは、粘土を焼くような熱気が流れ出し、どこからか子羊の鳴き声がかすかに聞こえてくる。...
裁きと知恵の庭
エルサレムの石壁が、午後の強い日差しで白く焼けているように見えた。都の喧騒は、王宮の高く厚い壁を透かして、鈍い波の音のように届くばかりだった。宮殿の奥、日陰にな...
帰還の祈り
エルサレムの石畳は、夕立の後の湿り気をわずかに含み、足裏にひんやりとした感触を伝えていた。ヨセフは西の門近くの丘の縁に腰を下ろし、遠くに広がる町並みを見下ろした...
老祭司の祈り 闇に響く確信
夕暮れが、オリーブの山々の稜線を溶かしつつあった。エルサレムの城壁は、長い一日を終えて、薄紫色の影を谷間に落としている。神殿の丘からは、夕べの献げ物の煙が、ほと...
ソロモンの神殿建設の始まり
エルサレムの朝は、橄欖の丘の向こうから薄紫がかった光が漏れ始める頃から動き出す。宮殿の高台の部屋で、ソロモンはすでに目覚めていた。羊皮紙の上に散らばった図面——...